made in 寺家のストーリー

「made in 寺家」が生まれるまでと、これからをご紹介します。

1. 寺家で初めての収穫
2. made in 寺家コンセプトの誕生
3. 地場野菜を使った加工品
4. 「道の駅」の楽しさを

1. 寺家で初めての収穫

私はフランスから日本へ2001年に来て、今年で20年になります。
英会話講師として働く傍ら、竹林の整備や稲作をボランティアでやっていましたが、
縁あって5年前に寺家へ移り住みました。

最初のうちは
子供たちを集めての英会話教室を開いたり、庭木の剪定や大工仕事をしていました。
趣味で畑仕事もさせてもらっていて、色んな野菜を育てた。
ばばちゃん(今の大家さん)の軒下にぶら下がっている唐辛子を見て、
「種を撒けば実が採れるよ」と教わって、植えてみました。

それが順調に育って収穫の季節を迎え、
何を作ろうか、という話になりました。

完熟した唐辛子

そこで「チリソースにしよう。
せっかくだから、イベントにしてみんなで楽しもう」と考えたんです。

初めての収穫体験。
そして、「参加してくれるみんなに楽しんでもらうには
どうしたらいいかな?」と一所懸命考えました。

今思えば、それが
アイにでやっている「アレックス農園」の原点になっています。

2. made in 寺家コンセプトの誕生

初めての収穫・瓶詰め加工には、
英会話に来ていた生徒さんの親御さんたちが
「楽しいよ~」とお友達を誘ってくださり、
子供たちもたくさん参加してくれました。

英会話を楽しみながら子供たちと唐辛子を収穫
みんな真剣になって唐辛子のヘタを取ってくれました

そしてラベルを作ろうということになり、
字の上手い方から「自分の字で書いたらいいよ」と言われ、
「寺家」の二文字を練習。
書いた文字をスキャンしてパソコンに取り込んでつくりました。

2015年に初めて作ったお土産用のチリソースは全部で70本!

寺家で育てて、
寺家で収穫して、
寺家で加工して、
寺家からいろんな人に届ける。──
「ああ、これって“地産地消”だ」と思い、
「made in 寺家」という名前にしました。

そして、できあがったチリソースをみんなが「美味しい」と言ってくれ、
「じゃあこれは毎年やっていこう」と。

私が寺家に来て5カ月経った、
まだ「里のengawa」ができる前のことです。

3. 地場野菜を使った加工品

そのうちに、
地元の農家さんに教わって
梅干しやお味噌、梅酢漬けのシソの実、梅ジャムも
作るようになりました。

梅酢漬けのシソの実は、
「わー、あんなにシソが咲いているんだ。実もついてるね!」と驚いたら、
ばばちゃんから「実もおいしいよ」と教わり、
「じゃあ何したらいいかな」と思って梅酢に漬けてみたら、
これがまたすごく美味しくて。

イベントでのお土産や、
頂きものへのお礼としてご近所さんにお渡ししていたところ、
「奥さんが超気にいってるよ」「まだある?」といった
ありがたい言葉をたくさんいただくようになりました。

一般的に売られている漬物や梅干しとは異なり、
旬の新鮮な材料を使うことで余計な添加物を加えません。
素材の風味が生きた、すっきりとした味わいです。

梅干しの「土用干し」
出来上がった、40キロのお味噌

2年前には、
キズやいびつな形が理由で売り物にならなかったり、
収穫量が多すぎて廃棄される寺家産の甘柿を仕入れて、
ご近所の農家さんと一緒に柿酢を作ってみました。

農家さんが作った柿酢を見て、私が作り、
また農家さんも作り、私も作り ──
というやり取りがとても励みになっていて、
いろいろな方のお世話になりながら作っています。

地元の方と一緒に手作りした絞り機。柿を発酵・熟成させてできあがった柿酢を絞ります
右:絞った直後、濁っている柿酢
左:寝かせて、澄んだ色をした柿酢。落ち着いた香りがします

もちろん、失敗もあります。
シソの実は、醤油に漬けてみたけれど、美味しくならなくて。

上手な人に教えてもらわないといけません 笑。

去年は蕪を柿酢に漬け、香辛料などを変えたものを何種類もつくりました。
まだまだ試行錯誤は続いています。

4. 「道の駅」の楽しさを

寺家で暮らし働いて、丸5年。

地元の人々はみんな顔見知りで、
田舎風のつきあいが私はとても居心地良く感じています。

ご近所さんから「白菜を置いていくねー」と言われて見たらなんと20個も!笑

田んぼも畑もあるし、竹林もあるし、
寺家にはなんでもあって、とても暮らしやすいところです。

持ちつ持たれつ。
自分が持っていないものも、「ねえねえ、○○ない?」と
ご近所に行けば大概あります 笑。

寺家には、
地元で農家をやっている人だけでなく、
もちろん外で仕事している人もいるし、
最近では
外から来て工房を持つ職人さんや、
農業をしに来る団体もいて、
それぞれに寺家を楽しんでいます。

私も寺家に住む一人として、
里のengawaやアレックス農園を通して
みんなに寺家を楽しんでもらえたらといつも願っています。

人が笑えば自分も笑える、
人が喜べば自分も喜べる。

寺家は、自然が豊かなことも素敵だけれど、
ここに住む人や訪れる人がそれぞれに楽しめる場所になっていることが
一番の魅力だと思っています。

私は地方の小さな「道の駅」で買い物するのが大好きです。
野菜や果物だけでなく、
漬物やドレッシングなどの加工品もたくさんあって、
地元の元気なおばあちゃんの手作りで、ラベルも付いていない漬物が
甘味料などの添加物の入っていない、とってもシンプルだけれど
確かにそのおばあちゃんだけの味。

美味しくて、しかも近所で採ってすぐ加工したという話を聞いたら
どんどん買ってしまいます 笑。
私はそういった地元のストーリーの詰まったものが大好きです。

私は本当に寺家の皆さんにお世話になりっぱなしで、
チリソースなどをお礼にお渡しすることくらいしか
いまはできていません。

いまのビン詰め工房の活動をもう少し大きくして、
地元の農家さんや、寺家が大好きな皆さんにご協力いただきながら、
チリソースだけでなく、いろいろな調味料をつくって
ここでもそういったものがつくれたら。
そして、みんなに楽しんでもらえたら――。

そんな思いで、地域ブランド「made in 寺家」を
一つのプロジェクトとして本格始動することになりました。

フランスのおばあちゃんの箪笥で眠っていた布を使って
寺家のばばちゃんが縫ってくれた絞り袋
絞った後、太陽の日差しで光る柿の残りかす。
濃いオレンジ色をしています

これから商品化を予定しているのは、
チリソース・柚子胡椒のほかに柿酢、ジャム、漬物など。
季節に応じて増やしていきます。

いずれも、寺家産の農作物をふんだんに使い、
昔ながらの製法で、無添加にこだわってつくります。

2020年にできた商品のラベル見本

まずは瓶詰め工房から始まる「made in 寺家」。

近い将来は、調味料に限らず寺家から生み出される工芸品なども
ブランド展開していきます。

どうぞお楽しみに!

made in 寺家のふるさと